南洋ボケ通信:無人島でプチ遭難しました。
はい、衝撃の写真からスタートの今回のブログ。以前、パラオ人の友人というかお父さん的なこの彼とジャングルに狩りに行ったら中々大変だったんです。
こちらの屈強なお父さん、ラ〇ルス氏は小柄な体格からは考えられない超ムキムキバディのスーパーパラオ人(笑)。いや、冗談抜きにスーパーなんですホント。
彼の事を語るにはブログ10本以上は軽~く書けるぐらい長くなるので、今回は割愛します。
それでも少し紹介すると、彼はパラオ最北の州、カヤンゲル州の元レンジャーの長。レンジャーって何ぞや?というと簡単に言えば、海上パトロール隊の事です。
そして、写真はカヤンゲル島に台風の後、クロコダイルが流れ着いてしまい、討伐した際の勇姿です。いつもそうなんですが、獲物を捕らえた時の彼はめっちゃ嬉しそうな笑顔(笑) 完全なるハンターの末裔といえるでしょう..。
ともかく、そんな彼が「ジャングルにコウモリ狩り行くよ~!」と言うので面白そうなので付いて行ったという訳です。
クロコダイルを狩りに行った訳ではありません。
*カヤンゲル島は基本的にはクロコダイルはいません。文中に書いた通り、台風の際、海が荒れ、偶然流れ着いたとの事。既にご覧の通り駆除されています。各ツアー会社のカヤンゲルツアーは安全なのでご安心ください。
先ずはビーチからジャングルに入るポイントまで移動。手に持っているのはコウモリを撃つ為の空気銃。
パラオは猟銃でも所持は認められておらず、所持した場合、重い刑罰が下されます。なので、鳥類やコウモリを捕まえる際は空気銃を使います。
ジャングルに入ってコウモリを探します。狙っているのはフルーツバットと呼ばれる食用になるコウモリ。
洞窟等、暗い場所にいるコウモリですが、このフルーツバットはジャングルの木にぶら下がり、好物の木の実やフルーツを主に食べているので、臭みが少なく、鶏肉に近いと言われています。
以前、何度か食べた事があり、実際に食べてみると少々臭みはありますが、ローカルスタイルのココナッツミルク煮になると部位によっては鶏との違いがほとんどわかりませんでした。
空気銃を撃つと木に止まっていたコウモリが一斉に飛び出します。今回は弾を当てる事は出来たそうですが、木に引っかかってしまい、ゲットならず。
止む負えず、今日はあきらめよう..という事になり僕以外の同行者は皆、ラ〇ザルス氏と撤収しました。はい、本題はここからです(笑)
ジャングルをなめてはいけません、ダメ絶対!!
ご覧の通り、昼間でもジャングル内は木々に囲まれ、通る道はほぼ獣道。感覚を研ぎ澄まさなければ、どこから来たのか、すぐにわからなくなってしまいます。
仕事でジャングルに入る際は、僕は必ずコンパスと鉈を持って行くのですが、この日は休日モード全開の遠足気分、何にも持っていませんでした。
コウモリを諦めきれず、色々な場所から捜索していたら、気づけば周りには誰もいません。「お~い、ラ〇ルス~!!」、「みんな~!!ドコいる~?」 もちろん返答はありません。初めは正直、新手のいじめかと思いました。
ま~いっても何とかなるべ、そんなでかい島じゃないし..。と高をくくっていたのですが、探せど探せど、帰り道が見つからない..。
30分ぐらい迷いに迷い、同じ行動をとっていても、わからず、これでは帰れない。何とかしなければと、腹をくくりました。
実はジャングルプチ遭難はこれが初めてでは無く、以前もラ〇ルスとジャングルに入ったら、置いてけぼりになりました(笑)
その時は「ラ〇ル~ス!ヘルプミ~!!」とシャウトし、無事合流できたのですが、その時こんな事を言っていました。
「何で、こんな簡単な事がわからないんだ!足元を見れば、歩いた後の足跡、木々がどちらが折れているかを見ればすぐにわかるだろう!?バカなのかお前は?」
いや、すみません..自分、そういう特殊な訓練受けてないんで、ちょっとわかりませんw
もちろん意味は理解しています。ただ、道の無いジャングルの中をどっちから来たかというのは、多少は覚えていても30分~1時間の道のりは正直、素人には厳しい。
彼の言葉を噛みしめながら帰り道を探すも、やはりわからず。そんな時、ふとこの島の地形を思い浮かべたんです。
ここはカヤンゲル環礁と呼ばれる島が4つある場所で、今いるのは右から2番目、大きさとしても2番目に大きなユンズ島。そして..現在の状況を整理するとこんな感じです。
皆さんでしたらどうやってジャングルから脱出しますか?そして重大な事実も発覚..
とはいいつつもそこまで大きな島では無いので、最悪ひたすらまっすぐ行けばどっか島の外側出るでしょ!
そんな声が聞こえる気がします。甘い!無人島をなめてはいけません!実際理屈的にはその方法で何とか帰れますが、その場合、けっこうな時間がかかります。
南国の蒸し暑いジャングル内で飲み物も無く、数時間過ごす事になったら、なかなか危険です。徐々に体力、気力も奪われ、プチ遭難では無く、リアルな遭難事件になるでしょう。
正直、僕もちょっと焦っていました。脳内で「ヤバいよ、ヤバいよ!マジでヤバいよ~!」と出川哲郎氏が出てきて、「いや、真面目に考えないと..」と一人ボケツッコミ。
そして考えて、考えて「今日何しに来たんだっけ?」と物思いにふけていたら、ふと思い浮かんだんです。
コウモリだ!そうだコウモリになれば良いんだ..。
お察しの良い方は気づいたでしょう。そう、耳です。音を頼りに帰れる事に気づいたんです。日本に住んでいると分かりずらいと思いますが、インリーフと呼ばれる珊瑚礁の内側はほとんど波がありません。
ただし、リーフ(珊瑚礁)の外は日本と同じく、波があります。どういう事かといえば、波の音が強い方向に行けば、外洋側に出る。逆に考えれば波の音が聞こえない方角に進めば内湾側の安全なビーチに帰れるという訳です。
そして、波の音を頼りにさまよう事15分程、意外なほど簡単にビーチに脱出する事が出来ました。やはり焦ると通常以上に物事は上手く行かないと痛感。
ようやく、皆に合流すると美しい景色を眺めながら、皆さま、まったりと過ごしていました。
同行者の一人が帰って来ない僕の事をラ〇ルスに聞いたら、「いや、Andyは大丈夫だ!前に色々教えたしダイジョーブ!」的な事を言っていたとか。
全然ダイジョーブじゃなかった..w
レンジャーとはパラオでは海上警備隊の事を主に指しますが、国によっては軍隊並みの特殊訓練を受け、いわゆる密猟者と闘うような任務に就く職種もあるらしいです。パラオのレンジャーもなかなか凄かったというお話でした。